not enough

欲しがって ケモノになって

「ジャニーズジュニアになりたい」という極論はなぜ生まれるのか。

 

以前大学の同級生とご飯を食べに行った時のこと。興味深い疑問に出会った。

彼女はゲーム・アニメ・声優などに詳しい所謂「二次元オタク」で、最近は刀剣乱舞にハマり舞台まで見に行くようになったらしい(そこでようやく「何公演も行きたくなる気持ちがわかった」とのお言葉をいただいた)。私は二次元界隈のことは人よりほんの少し詳しい程度なので、彼女から聞く情報はいつも新鮮なことばかり。また彼女も興味があるのかないのか面白がってジャニーズや韓国のことも聞いてくれる。現場の話、新譜の話、オタクの話。お互い別ジャンルとはいえ根本のオタク気質が似ているせいでなんとなく理解しあえるらしい。

そんな彼女との会話の中で、私が「結論はいつも『来世はジュニアになりたい』で終わる」という話をしたときに、「なんでジャニーズジュニアになりたいの?」と言われた。要するに「なんでオタクは最終的にその好きな対象になりたいと思うことになるの?」という意味。どうやら二次元界隈でもそういうオタクがいるらしい*1。私の友人は、それが理解できないらしい。否定するわけでもなく、ただただ純粋に「なんでそうなるの?」という感じ。

 

言われてみれば、なんでなんだろう。

多分だけど、ジャニーズの場合は、あくまで「オタクの心を持ったまま」という前提が多いように思う。たとえば自分をジュニアとして妄想する場合、こういう場面ではこうするだろうと設定する時、無意識に「オタクとしてされて嬉しいこと」を妄想上の“ジュニアになった自分”にさせているような気がする。

例えば私がジュニアなら、コンサート終盤のファンサ曲で外周をファンサしながら回るなら端っこから端っこまで見える限り全ての団扇に応えたいと思うし、先にデビューした同期のバックにつけば絡んでいるところをカメラに抜いてもらうと思う(設定が細かい)。

でもそれは、実際に生まれ変わってジュニアになったとしても、現世(来世での前世)の記憶はゼロなわけだから、相当なアイドルとしての素質を持っていない限り今の私が思い描くジュニアになるわけじゃない。要は「理想のジュニア」を生み出したいだけなんだと思う。オタクの気持ちがわかるジュニアを。だからオタクの言う「ジュニアになりたい」は、「(私ならあそこでああできるから来世では)ジュニアになりたい」みたいな感じじゃないのかな。

まあ人によっては、担当のシンメとシンメになりたいとか、担当と腐売りされたいとか、そういう嗜好もあるよね。ちなみに私はじょうくんのシンメとか恐れ多くて無理。腐売りもじょうくん向いてないし。和也くんとなら大歓迎かな!!!

 

話が逸れた。
実際、NGT48の中井りかが「釣り師」だと言われるように、オタクの気持ちがわかるアイドルは売れる。*2例えば指原みたいに爆発的にとはいかないけど、少なくとも彼女はデビューシングルのセンターを勝ち取った。

 

――デビューシングル『青春時計』で、センターの座を手に入れた中井りかさん。まずは、おめでとうございます!!

 

中井 ありがとうございます~!

 

――早速ですが、質問です。センターになって、苦労したことはありますか? できれば3つくらい教えてもらえますか?

 

中井 苦労したことですか…苦労ばっかりなんですけど…(笑)。

 

――え!? そ、そうなんですね。じゃぁ…BEST3…じゃなかった、苦労したことワースト3位からいきましょうか?

 

中井 はい。えっと…私、今まではNGT48の中でも「釣り師」って言われているポジションだったんです。舞台で言えば端っこのほうに立って、割とやりたい放題に踊ったりパフォーマンスをしたり、振りを自分らしく可愛くアレンジしたりして、来てくれたお客様を楽しませて盛り上げて…そうして、みなさんの視線や注目を集めること、つまり“釣る”ことが私のお仕事だったんです。

 

――センターだと、そういう“釣り”は出来なくなっちゃいました?

 

中井 はい。センター、すなわちグループの真ん中に立つということは、すべてのバランスを取らなければならないってことなんですよね。私だけが目立ったらダメなんです。そのために、自分のカラーをあまり出せなくなったというか…自分の良さの出し方が難しくなってしまったんです。

 

(中略)

 

中井 私も、元々センターを狙ってはいたんです。2015年の8月に、お披露目させていただいたときから「センターになりたい!」って思ってはいたんですよ。でも、活動をはじめて、釣り師になって、端っこじゃないとできないこともあるなって思うようになって。自分に与えられた場所で、お客さんにたくさんのHAPPYを届けられるようになりたいな、端っこにいてもしっかり輝ける存在でいたいなって、そう思っていたんです。

NGT48中井りか「私は釣り師のまま行くと思っていたので…」 | NGT48スペシャルインタビュー

 

 

たまたま見つけたインタビューだけど、興味深かった。
大所帯アイドルの中にいるのだから当然の心持ではあるものの(アイドルにストイックババア)、端っこにいても自分を見ている人がいてくれるということを信じてやりつづけるのは簡単なことではないと思う。でも真ん中に立つまではそれが一番大事だったりする。そしてオタクはそんな子に惹かれがちなのである。

オタクは基本的に青田買いが好きだし、応援期間をステータスにしがち。そういうオタクは余計後列、端っこにまで目を配る。誰しもが前列だけを見ているわけじゃない、端っこでも目を引く存在がいれば“推し増し”するのがオタク。それを知ってか知らずか、中井りかは『自分に与えられた場所』で自信を持ってそれを『私のお仕事だった』と言う。潜在的なものなら天才。でも私は後天的なものだと思ってる。

この事に言及するのってもしかしたらタブーかもしれないから軽くしか触れないでおくけど、少なくともステージの上で輝いてる人を追いかけてた彼女だから、言い方は悪いけどどうすれば釣れるとか、どうすればどこででも輝けるかの術を知っているんじゃないかなって(もちろん先天的にこういう意識を兼ね備えてるアイドルもいると思うけど)。

 

 

って、別に私りか姫推しじゃないしむしろネタにするレベルで、ふと「なぜジュニアになりたいと言うジャニヲタが多いのか」というのを考えた時、彼女もそんな思いの果てに48Gに乗り込んでいったのかなあと、思っただけです。

そりゃ私だって「私って○○くん担の中で世界一可愛いよね」な顔面持って生まれてたら中学生くらいからアイドルなりたかったわ!!!だってオタクが何されたら嬉しいか知ってるもん!!!名前覚えられたり、あだ名つけられたり、出席確認してくれたり、固定レスしてくれたり、仲良しとのツーショをあげてくれたり、シンメで遊んでくれたり、そのエピソードを雑誌やSNSで垣間見せてくれたり、いつでも笑顔でいてくれたり、いつも全力で踊ってくれたり、プラベはひた隠しにしてくれたり、そういうことされたらオタクは嬉しいって知ってるもん!!!絶対オタク人気高いメンバーになれるもん!!!完璧な顔面さえ兼ね備えていれば(ここが一番重要)。

元ジャニヲタが48とか坂系に入ると絶対掘り起こされて叩かれるけど、そういう人が一番アイドルに向いてると思うんだよね。とはいえアイドルになる人っていうのは中身の適正だけじゃ上手いこといかないので、せめて運営はみんなオタクにしてほしい。「餅は餅屋」って言うじゃない。その道の専門家に聞くのが一番いいのよ。そうすれば握手会がメンバーも選択できない、交換もできない、引き換えるには写真付き身分証明が必要なんてことしないよ*3

オタクが本当に聞きたいことと、本当は聞きたくないことって、運営側は上手くはわかってなかったりもする。もちろん大人の事情でその全てを明け透けにはできないのだろうけれど、たとえば誰かが退所するときは何らかの公示をしてあげるとか*4。大方の出演ジュニアは事前公表しておくとか。オタクが快適に過ごせる方法は、オタクにしかわからないような気がするよ。まあ、全くの第三者が運営する良さもあるんだろうけどさ。知らんけど。

 

それでも私は来世でジャニーズジュニアになりたいです(支離滅裂)。あのマンションの一部になりて〜〜!!!

 

 

*1:あくまで私の友人の知る限りなので一般的かどうかは知らない。

*2:中井りかさんを知らない方はグーグル先生に聞いてみよう!

*3:防弾少年団リリイベでの実話です。

*4:これも賛否両論あるのか