not enough

欲しがって ケモノになって

「ボクらの時代」を見た話。

 


嵐担ではないですが見ました。そう、なんでかって私は野田洋次郎RADWIMPS)が好きだからです。全国の嵐担並びにJ担のみなさんごめんなさい。よーじろーのために(1週間前から録画予約しておいて)見ました。本当は自担の日誌の話とかとれ関の話とかしたいんですけど、どうしてもどこかに書きたかったので書かせてください。

※ひたすらRADWIMPSの話です。

 


今でこそメディアに出たりSNSを始めたり、「前前前世」のおかげで知名度の上がったRADですが、私が好きになったときはまだほとんど無名のバンドでした。

私が彼らに出会ったのは2006年でした。そして「セツナレンサ」と『RADWIMPS 4〜おかずのごはん〜』のころなので11~12月だったようです。きっかけは部活の先輩でした。「とにかくいいから聞いてみて」とわざわざセツナレンサの歌詞を打ち出したプリントとおかずのごはんを差し出され、「ほとんど英語じゃん…」と思いつつ言われるがままに聞きました。ちょうど、相方のせいでジャニヲタが本格化したのと同じころです。だから私の音楽的思考はジャニーズに傾きつつあったところに、ドカンと衝撃が襲いました。もう、どハマりです。今でいえば、沼。完全に沼だった。底なしの沼に丸腰で飛び込んじゃったもんだからもう、沈む一方。今思えば、特段邦ロックに興味があったわけでもない私*1に有無も言わさずとにかく聞けと押しつけてくれた先輩に感謝します。

今でも一番好きなアルバムはきっかけになった『おかずのごはん』です。「ふたりごと」のイントロ、洋次郎が息を吸う音から始まり、静かに終わったアウトロから突然激しいギターリフで始まる「ギミギミック」につながり、盛り上げまくった音でこれまた突然終わったかと思えば唐突に歌いだす「05410-《ん》」…と、文字通りエンドレスリピートし続けていたおかげで頭から終わりまで通して聞きすぎて、アウトロを聞いたら次曲のイントロが自然と脳内再生されてしまうほど記憶に残っているアルバム。洋次郎本人も「これがRADWIMPSだと言えるアルバム」だと言うし、私も思います。そして私はこのころのRADの音楽が一番好きです。


番組の中で洋次郎が「平気で何年もアルバム出さないときもある」「それ(一発目)が全く売れなかったりとか」ということを語っていました。

『おかずのごはん』は4枚目のアルバムですが、2006年は2月に初のメジャーアルバムとなる3rd『RADWIMPS 3〜無人島に持っていき忘れた一枚〜』を出した10ヵ月後に『おかずのごはん』をリリースしています。それを考えると、その次の5th『アルトコロニーの定理』が2009年3月、6th『絶体絶命』が2011年3月、7th『×と○と罪と』が2013年12月、8th『人間開花』が2016年11月というその後のアルバムリリースの間隔がほぼ2年おきであることが長く感じます。7から8までは丸3年空いています。

私は『絶体絶命』以降の2枚をほとんど聞いていません(『×と~』はレンタルしましたが)。それは、全体の雰囲気の変化をなんとなくですが感じたからです。洋次郎も「(長く間が空いて一発目)全く違うことをやるんですけど」と言っていたように、アルバムごとにかなり雰囲気が変わるのがRADの魅力でもあります。ただ5th以降は大体同じような雰囲気を纏っていると感じていて、あくまで私が好きだったのは『おかずのごはん』であり『おかずのごはん』を初めに聞いたからここまでハマったんだとも思います。大きく見れば、グラデーションのように徐々に変わっていっているようにも見えますが、4と5(と6)の間だけを取ると大きく変わっていると感じるのです。洋次郎が対談内で思い浮かべた作品がどれかはわかりませんが、『おかずのごはん』以降の作品であるのはたしかで、私みたいな感想を抱いた人が少なからずいたことで「当たらなかった」という印象を洋次郎自身が持ったのかもしれません。


『おかずのごはん』はどっからどうみても恋愛ソング集です。全部が完全にラブソング(と私は感じている)。具体的な誰かがそこにいるとしか思えない。実際「遠恋」を「初のフィクション」と言っているし、洋次郎が長く付き合っていた彼女に贈ったアルバムとも聞いたことがあります(噂ですが)。そして英語詞が多い。「05410-《ん》」とか「セツナレンサ」なんか4分の3は英語の詞です。帰国子女の英語は全く不快ではないんだけど、いかんせん日本語が公用語なので聞いていてスッと意味がわかるほどの英語力は持ち合わせていません。

私なりの解釈としては、英語を多くすることであえてまわりくどく伝えたかったんじゃないのかなと思っています。これを聞くほとんどの人は、彼が歌う速さでこの英語の歌詞を聞いてもリアルタイムで意味を理解しながら聞くのは難しいはずです。そうするおかげで、いい意味で曲をなんとなく聞ける。ダイレクトに深い意味を受け取らずに聞き流すことができる。洋次郎の恋の話ではなく、音楽として。


そして5th『アルトコロニーの定理』では圧倒的に英語の詞が減ります。多分、ほぼない。音の雰囲気も私の体感ではガラリと変ったような印象を受けました。タイトルも「RADWIMPS○~○○○~」の形式をやめます。そして「おしゃかしゃま」のような人間の命や神様についての歌詞が徐々に多くなり始めます。それでもほとんどは恋愛の詞で、「メルヘンとグレーテル」で「ふたりごと」の“そんな歌”が完結するっていう伏線回収の仕方が洋次郎っぽい。6th『絶体絶命』にいたってはタイトルが命をテーマにしているという重さ(褒めてる)。だって「糸色(いとしき)体 糸色(いとしき)命」ですよ?重くない?(だから褒めてる)っていうタイトルからも読み取れるように断然人間そのものに重きを置くようになったんじゃないかと思います。

5thから圧倒的に英語詞が減ったことで、今度はそれまでとは対照的に、気持ちや言葉をダイレクトに伝えたかったのかなぁと解釈するようにしています。「自分が経験していないと納得できない」らしい洋次郎が詞に載せた恋の話はきっとほとんどがノンフィクションで、歌詞にしちゃうくせに英語というオブラートに包んだ。そのオブラートを除くことで、今度はダイレクトに歌詞が届くようになって、洋次郎はそれを狙っていたんじゃないかと思っています。


野田洋次郎という人はきっとものすごく頭がいいんだと思います(実際中高桐蔭で慶應中退っていう学歴)。だからその言葉選びが本当に秀逸で、好きです。そのぶんMCというか曲の合間に話す言葉はたまに、アドレナリンのせいなのかめちゃくちゃキザに聞こえるときがあるけど。番組内でもそれをすごく感じて、30歳で諦めたというJに「30までそうやってもがいたから諦める権利を得たのかもね」って言ったところとか、会う前のJの印象について話している場面で「これの50倍くらいキザで、100倍くらいとっつきづらくて、2000倍くらいもうちょっと嫌な人だと思ってた」と言ったところとか。なんてことない例え方ですが、これがすごく洋次郎っぽいなぁと私はなんとなく感じました。こういう言葉の選び方が野田洋次郎っぽいなぁって。(私の語彙力では「洋次郎っぽい」というのが限界)

あとメディア露出が増えたことについて言及しているのも嬉しかった。ずーっと歌番組に出てなくて、何かの主題歌になることもなかったRADが、それでも十分人気のあった彼らが、ここ数年で急にメディア露出を増やし映画主題歌がバカ売れし紅白に出演しツイッターもインスタも始めちゃった。私はなんとなく腑に落ちなかった。「RADWIMPS前前前世」みたいな風潮も。RADを紹介する時必ず「入れ替わってる?!」の映像と音楽が流れることも。もっともっと素敵な曲があるのに!口ずさみづらい曲ばっかりなのに!と。みんな少し前まで「有心論」と「ふたりごと」しか知らなかったくせに!みたいな。醜い古参の姿ですね。私こそここ数年の彼らの音楽聞いてないくせに(君の名は。も見てないくせに)。

でも洋次郎本人が「3.4年前とかだとこんなふうにテレビに出るのはあり得なかった、考えられなかった」って思ってることを分かった上で、「時代から切り離してクリエイティブを考えちゃダメだなと思ってて」と言ってくれたことで妙にストンと落ちてきました。時代の流れから逸脱したクリエイティブにならないように、その時代に乗っかっていたんだなぁと。そう思うと、まったくメディアに出なかった洋次郎がこうしてジャニーズと映画監督という異業種交流をしている姿を地上波で見せてくれるというのは、すごくありがたいなぁと思いますね。


この「ボクらの時代」のことを知ったのは、野田洋次郎ツイッターアカウントでした。本人が番組の公式アカウントのツイートをRTしていたので、すぐに録画予約しました。「潤ちゃんかジュンジュンと呼んでます」「いやだと言われたけど」って、そんなに仲良しなのかよ・・・って頭抱えた。しかも番組内で「ショウタの誕生日に…」って言ってたのは松田の翔太ですか?何でしょうその俺得空間?さらに頭抱えたわ・・・別次元にいると思っていた好きなものと好きなものの世界が触れ合うって本当に尊い。47のメイキングで安田がめっちゃ大声でme me she歌ってるのが収録されていることも*2、横山さんがハマっていると公言してレコメンで流したりしていたことも、ニノさんで有心論の歌詞を紹介してくれたことも、尊いでも間違ってもジャニーズに楽曲提供とかしなくていいからねよーじろー…


ジャニーズに次いで唯一ずっと応援しているものだったのでちょっと熱くなってしまいました。もしこれを読んでくれたジャニヲタさんで「前前前世」しか知らないという方がいればぜひ!RADWIMPSの過去楽曲も聞いてみてください。手始めに『おかずのごはん』あたりからどうですか。

 

 

*1:小5で175R、小6でBUMPにハマるも本当に一瞬で終わった

*2:たしか石川あたりじゃなかったかな