not enough

欲しがって ケモノになって

2017.12.18

2017年12月18日、私の特に応援している人の仲間の1人であり、大好きなグループのメンバーの1人であり、みんなに愛される1人の素敵なアーティストが、自らの意思でこの世にお別れを告げました。


何から書けばいいのか。こんなこと書いていいのか。すごく悩みました。だけど、どうしても記憶というものは風化していくものですから、今の痛くて苦しい気持ちのまま、それを少しでも、支離滅裂になってでもどこかに残しておきたいと思いました。

 

アイドルというものは、心のどこかで「永遠」なんじゃないかと思っていました。それくらい非現実的な存在だからです。ただでさえ「誰かが死ぬ」なんてことを普段から想像できる人なんていません。ましてや普段から偶像として、ほぼ非現実的な存在として認識しているアイドルが、本当に生きていてその命に終わりがきてしまうなんて。そして、それが自分の意思で、自分の手によるなんて。そんなこと誰が想像できるでしょうか。

そのニュースを目にしたとき、家に1人で、仕事から帰ってきて夜ごはんを食べ終えたところでした。あまりに現実離れしすぎている内容で、すぐには状況が飲み込めませんでした。悲しいとか、寂しいとか、そういう感情がないわけじゃないんです。ただ「?」という感じ。死んだ?どういうことだろう、って。わかるはずなんだけど、わかろうとしてないのか、しばらく混乱していました。流し見ていたテレビの内容は何も入ってこないし、嘘なんじゃないかとか、でもこんなふうにニュースになることが嘘なわけないし、でも自殺とかそんなわけある?公表してない重病があったんじゃないの?いやどっちにしても、死ぬなんてことある?…ただただ受け入れられないというか、ただ文字をなぞるだけじゃ何も信じられませんでした。だからすぐに涙も流せなかった、悲しいのに。なんでか、ずっと無でした。どうしたらいいのかわからなかった。人間は悲しすぎると一周回って冷静になるのかな?って、これまた変に冷静に考えたりしていました。

ただただ情報を集めようと、もっとちゃんとした情報があるのではないかと、ログアウトしていた韓国用のアカウントにログインしていろんなものを見ましたが、やっぱり実感もなく感情は無のままでした。

親が帰ってきて、私の隣で夜ごはんの準備を始めて、「BIGBANGの人、結婚するらしいね」って言われて、「いやそんなことよりさ…」こっちの話でしょ、と話しだそうとした瞬間、急に悲しみがこみ上げてきて涙が溢れました。自分でもビックリするタイミングだった。聞くだけじゃ、見るだけじゃ実感は湧いてこなかったけど、そのことを自分で口にしようとすると急に実感が湧いてきてしまったのかもしれません。あまりに突然泣き出したので母親も相当ビックリしていました。自分でもかなりビックリしましたし。


「今は集中治療室にいる」とか、「本国では死亡報道はされていない」とか、「新大久保でインタビューがあっているらしい」とか。閉鎖的なアイドル界隈の話だから、そうしていろんな情報が飛び交うのは日常茶飯事です。その間、ただただ、なんとなく苦しかった。なんとなく、です。モヤっとした気持ちで、重くて、やるせなくて、悲しくて。時間がたつにつれて、当時はないと言われていた遺書が出てきたり、実はうつを抱えていたと聞いたり、どこから聞いたのかメンバーの反応が流れてきたり…ああ、本当のことなんだって。じわじわと、信じなくちゃいけないんだと思わされていくような、すごく嫌だった。

だって、今でもどういうことなのかわからない。やっと5人そろって活動できるようになって、日本に来てくれる予定も決まって、今年もこっちまで来てくれるのかなって思っていて、楽しみにしていたのに。それがもう、叶わないって、どういうことなの?5人並んだ姿がもう一生見られない。あの素敵な歌声を乗せた音楽は今後1つとして生み出されない。推しが顔がでかいと彼にいじられたり衣装のデザインが奇抜だと彼に責められたりする姿は、大きな会場でライブできることが嬉しくて泣きだしちゃう彼の姿は、ステージの真ん中でピンスポを浴びながらあの伸びやかな歌声を惜しみなく披露してくれる姿は、もう一生見られない。それってどういうこと?光り輝くSHINeeからジョンヒョンがいなくなってしまうって、どういうことなの?

事実としてはわからないわけないのに、わからないんです。嘘みたいに信じられない。受け入れられない。わからない。全然飲み込めない。安らかに眠ってくれと、チャルジャヨと、スゴヘッソヨと、口では言っていても全然受け入れられてない。今日になって、遺影を見て、喪主に並ぶ4人の名前を見ても、いまだに実感がありません。本当にもう、ジョンには会えないの。それってどういうことなの。今でも不思議な気持ちのままです。

 

 


アイドルを追いかけることを趣味とする身として、思うことは両極端にありました。

1つは、できるだけ「みせつづけてほしい」ということ。
日本の芸能界ではここまでのことは少ないですし、幸いジャニーズ事務所でも同じような事件は起きたことがありません。もちろん中でどんな争いや嫉妬や絶望が渦巻いているのかは知り得ませんが、どんなにつらかったとしてもみんなが最終的な選択として「退所」という方法を選んでいます。事務所を辞めてしまうことは、少なからず「アイドル」として一度死ぬことです。その時は必ず来ます。遅かれ早かれ。ジュニアに降りて一層そのことは考えるようになりましたが、それでもまだ偶像に夢を見てしまう自分もいます。

だけど「永遠」というものはそこに存在しない。しかし存在しないそれを、あたかも存在するかのように「みせる」。その「みせる」という部分がアイドルの仕事だと思っています。「永遠」ではないことを理解しているから、それを頭のどこかで理解しながらも、「永遠」であるかのように見せてほしいと願っているのだと思います。どうしてもきてしまう終わりを、できるだけ遠くに、できるだけ見えないようにしてほしいと。
だから少しでも彼らの舞台を見ておきたい。ただのオタクはそんなふうに思ってしまいました。いつなくなるともしれない、不謹慎だけれども今回と同じような形で観たいものが観れなくなる日がくるかもしれない。ただでさえ不安定な彼らの状況に加えてそんなことを思うと、より一層ひとつひとつの舞台をもっと大事に見届けなきゃいけない気持ちになる。もっと足を運んで、少しでも多く記憶に残しておきたい。そう思ってしまいます。


一方でもう1つ、そこまで追い詰める必要はないのではないかという気持ちです。
アイドルに対してストイックに考えがちな私にしては譲歩した意見かもしれません。でも今回の件や他のアイドルたちのそういった面に触れる(韓国のアイドルはその機会が日本より圧倒的に多い)と、どうしてもそんなふうに考えざるを得ないと思うんです。人間の心を持っているのなら。
私はしばし「アイドルは人間ではない」と言います。しかし私も彼らが人間であることをわかっています。彼らにも心があり、血が通っていて、意思があることをもちろんわかっています。だから私の場合は担当や推しに対して、それがつらいと思う仕事なら辞めていいと思うし、辞めてその人がもっと幸せに生きられるならそれでいいと思っています。もちろんアイドルとしてのその人が好きだと、アイドルとしての姿を今後見れなくなるんだと考えるとつらいですが、そのかわりちゃんと「幸せ」に「生きている」ことで救われるような気がするのです。

 


こんな解釈を目にしました。ジョンヒョンは、SHINeeを脱退することや、事務所を辞めることを選びたくなかったんだろう、と。SHINeeでいたい、でもつらい。だから、その道を選んだ、と。
その道を選んでしまったことを責めたいわけではありません。でも、もっと他にあったんじゃないかって、思ってしまいます。「SHINeeのジョンヒョン」でいることがつらかったなら、歌うことが、作ることが、演じることが、ジョンのことを苦しめていたなら。SHINeeでいなくたってよかった。実質的に「SHINeeのジョンヒョン」でいなくなることはいつまでもできないのかもしれないけど、せめて音楽やその他のジョンを縛るものから少しでも自由になれたんじゃないのかな。だけど辞める道を選ばずに「SHINeeのジョンヒョン」のまま27年の人生を終えてしまったということは、真面目で優しいジョンの中にそんな選択肢がなかったのかもしれません。だけどきっと他に何か…って、堂々巡りですね。

ただひとりのヒョンでありリーダーであるオニュさんは、その立場上の責任や、このタイミングであることで絶対に自分を責めていると思う。ミノも、キーくんも、テミンちゃんも、そばにいながら唯一無二のヒョンを助けてあげられなかったことをこの先もずっと悔みながら生きていくのかもしれない。SHINeeはみんな優しい人たちだから、感じているであろう自責の念や後悔は計り知れない。もちろんジョンのことはみんな、これからもずっと愛しているだろうし、わたしは並ぶのが4人になってもSHINeeを応援することに変わりはない。だけどもしそんな苦しい気持ちを抱えながらステージに立つことが本意ではないなら、そのステージを降りることも許されると思う。やっぱりグループは1人でも欠ければ不完全だから。遺された4人がただただ、少しでも穏やかに生きていけることを願っています。そして、ジョンが最後までSHINeeでいてくれたことに感謝して、どうか天国で自由に歌ったり踊ったりしていてほしいということを願っています。

 

 

SHINeeを好きになってまだ3年弱。そんな私ですらこんなにも胸に影を落とすというのに、その何年も前から彼らと世界を共有してきた世界中のシャヲルちゃんたちはどれだけつらいことだろう。だけどその何年もの歴史の中のたった3年間だけでもジョンや5人のSHINeeの姿をたくさん見せてくれて、いくつもの幸せな空間をくれてありがとう。

 

ジョン、SHINeeとしてたくさんの素敵な歌と笑顔をありがとう。そしてお疲れ様。

天国ではどうか幸せに過ごしてね。R.I.P